世界が今夜終わるなら

「なにこの曲。『世界が今夜終わるなら、君はなにをするのかな?』だってさ」
「いい歌じゃない。僕だったら、草原に寝そべって、流れる雲をずっと見ているかな。風の音を BGM に、大地の温もりを感じながら。それで、顔に草が触れて、痒くなったところを掻いたりしてさ」
「ナニソレ? くさいねー」

GAKU-MC 著『世界が今夜終わるなら』を読む。27人へのインタビューが、少ないページ数で簡潔にまとめられ、全編を通して美しいリズムが伝わってくる。最初は対談集と思っていたが、この本は詩集だと思った。

力強く、美しく、どこか幻想的な言葉の数々。GAKU-MC のエッセイと、著名人のメッセージが絶妙に重なり合い、詩集となって輝く。インタビューの間には、美しい写真と共に、古今東西さまざまな詩が差し込まれ、モノクロ、カラー、縦書き、横書き、自由自在に言葉が踊る

GAKU-MC の言葉は、人によってはくさいと感じるかもしれない。なぜなら、氏の言葉はまっすぐだから。子供の瞳のように、キラキラと光を放っているから。

「でもさ、くさいくらいが丁度いいと思わない? ブルーチーズとか、粕漬けとか、おいしいもんね」
「まあ、おいしいけどさ」

「くさい」には二種類ある。ひとつは、表面だけを取りつくろう、キレイゴト。もうひとつは、大人が忘れたふりをしている大切なことを、勇気をもって意思表示すること。隠していることを他人に私的されると、どことなく気恥ずかしいから、「くさい」と感じてしまうのだ。食品で例えるなら、前者は「腐敗」、後者は「発酵」と言えよう。

「あ、そうそう。ワイングラスを持ってきてもらえる? ありがとう。って、すごい汚れてるね。ごめん、洗ってきてもらえるかな」
「はいはい。要望多いなー」

子供の頃に持っていた夢を、大人になると忘れてしまう人も多いだろう。今の子供たちの夢を、大人が否定してはいけない。大人になってしまった人たちには、氏の言葉は届かないかもしれない。音楽を愛する人、言葉を大事にする人には、きっと届くことだろう。

世界の終わりを想像することは、悲観的と思われるかもしれない。しかし、世界の終わり、人生の終わりという、必ず訪れるものを意識することで、今が輝くのだ。今を生きようと、思えるのだ。

ほどよく発酵し、味わい深い言葉が随所にちりばめられた『世界が今夜終わるなら』。これからの時代を生きる人たちに、ぜひ読んでほしいと思える一冊だ。この本を読んで、世界の終わりと、自分を取り巻く今を、改めて見つめ直してみてはいかがだろうか。

10年前、『クロール』に感銘を受けて以来、ずっと励まされ続けている GAKU-MC からの贈り物だ。あたらしい年に出会えたことに、心からありがとう

「さあ、ブルーチーズをつまみに、ワインを飲もう。この素晴らしい世界に、乾杯!」
「はいはい、かんぱーい!」

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